
仕事をしていると必ず出くわすのが、情報の整理。

と考える人も多いかと思いますが、基本的な考え方を身に付けず、闇雲にデータベースを作ってしまうとのちのメンテナンスなどに支障をきたすことになります。
そこで今回は実際の仕事をしていく中で感じたエクセルでデータベースを作る際の注意点を考えるとともに、どうやってエクセルでデータベースを作ればいいのかの基本方針をみていきます。
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そもそもデータベースとはいったい何なのかを考えましょう。
データベースの歴史
データベースを日本語にすると情報基地であり、語源としては第二次世界大戦頃だと言われています。
当時の戦時下にあった米軍は敵国の情報を各基地に保管しており、情報の統合が行われていませんでした。そのため、調べたい情報があった場合まず、その情報がどの基地にあるのかを調べないといけないということで、情報を調べるために余計な時間が掛かっていました。
そこで、米軍は情報を一つの基地にまとめることで情報を探す効率化を図ることになり、データベース(情報基地)という言葉が生まれました。
現代におけるデータベース
現代においてデータベースとは情報が集まった資料のことを言います。
ただし、ただ単に情報が集まっていればいいというものではありません。集まった情報が統合・整理された状態にしておくことで、情報が活用しやすい状況になっている資料でなければなりません。
データベースから必要な情報を取得するために時間がかかってしまうようでは情報を活用することができずむしろ仕事が増えていくことになります。一方で情報が上手に管理・運用されていれば情報の捜索や分析が簡単に行われ仕事が円滑に進むようになります。
特に昨今ではビッグデータというような言葉やマーケティングという言葉に表されるように、データを分析するということが会社の利益アップのためには重要な項目となっています。データベースは単なる情報収集の場ではないということをしっかりと認識しましょう。

データベースを作る前の注意点
では実際にエクセルでデータベースを作る際にはどのようなことに注意すればよいでしょうか。
データベースは素材であり、加工して目的を達成する
データベースはあくまでも情報が収集された資料です。データベースの目的を明らかにして、その目的をそのままデータベースに求めるということをしてはいけません。
データベースはあくまでも目的を達成するための資料であり元の素材でしかありません。
例えば
- データベースから伝票などを印刷する
- データベースからグラフを作る
- データベースから件数を数える
などと言ったことが考えられますが、この機能をデータベース自体にもたせてしまうと伝票を印刷するデータベース、グラフを作るデータベース、件数を数えるデータベースがそれぞれできてしまい一つのデータを複数のデータベースに登録しないといけなくなってしまいます。
しかし、データベースは2次加工のための素材であるということがわかっていれば一つのデータベースから伝票を印刷する、グラフを作る、件数を数えると一つのデータベースで複数の作業が行えます。
データベースはあくまでも加工をするための資料という意識を持ちましょう。
データベースの目的を考える
データベースの説明で書いたように、データベースとは情報が収集された資料でありそれ以上の役割を担っています。
データベースの活用方法を決めないことにはデータベースの項目をどうするのかなどの作る方針も決まりません。
メンテナンス性を考えておく
データベースを作ったはいいけれどもメンテナンス性が悪いというのも問題です。
仕事というのは日々進化していきます。作った当時は事足りたデータベースも、時代を追うごとに実際の仕事の内容と合わなくなってきてしまい、ほんとは作り変えたいのにメンテナンスができないのでしょうがなく使っているということになってしまっては大変です。
特にマクロを多用してしまうと最悪です。
マクロは作り手によって癖が反映されるほか、苦手な人にはとっつきにくい分野です。受け継いでいかれていくデータベースに複雑なマクロが入ってしまっていると、作り手しかメンテナンスできないという事態になってしまいます。
極力マクロは使わずにエクセルの機能を駆使してデータベースを作成しましょう。
データベースを作るうえでの考え方
では実際にデータベースを作ってみましょう。と言いたいのですがデータベースを作る際にも気を付けないといけないことがありますのでその内容をまとめましょう。
1行に1データ
データベースの基本は1行に1データです。
たまに、印刷の都合などからデータを2行にしてしまうひとがいますがこれではデータベースとは言えません。(ちなみにセルの中で改行を行う場合はAlt+Enterでできます。)
データを2行に分けてしまうと、データの集計に誤差が生まれるほか、差し込み印刷を想定した場合には想定外のものが印刷されてしまうなどと言った、予期していない事態が発生しています。
エクセルやワードを開発しているMicrosoft社も1行につき1データを前提としてアプリケーションを作っていますから、その流れに反しても使い勝手が悪くなりますのでここはMicrosoftの方針に従いましょう。
入力の内容を制限する
入力する項目は極力制限しましょう。
データベースを作成する場合は関数や、エクセルの機能を使っていくことになりますが、入力内容にぶれが存在すると正しく動作しないこともあります
例えば次の表を見てください
A株式会社 | 正式表記 |
A株式会社 | Aが全角 |
A(株) | 略式表記 まる括弧は全角 |
A(株) | 略式表記 まる括弧は半角 |
A㈱ | 略式表記 環境依存文字 |
どれもA株式会社を表記したものですが全部違う表記になっています。Aの部分が半角や全角、株式会社の部分が文字だったり略式だったりがありえます。また、略式の表記でも()が半角か全角、環境依存文字などA株式会社の表現方法にもたくさんあることがわかります。
PCは優秀な反面こちらが指定した内容のこと以外はしません。また、指定内容は細かく一致しないと動かないということも多々あります。
データベースの入力で様々な入力方法を認めてしまうと思うような集計結果が得られません。今のA株式会社に加えてB株式会社を含めてみてみましょう。

左がデータベースで真ん中がピボットテーブルで作った集計用の加工データ、右がグラフになります。
A株式会社の表現でさまざまな形を認めているため、集計のピボットテーブルやグラフで、別々に集計されてしまっています。
一方でB株式会社は表記の揺れを認めさせないようにしたので集計が しっかりと行われています。
他にも、金額を入れるときに文字列として入力させてしまうと、エクセルが数字と認識できずに集計ができないなどの事態も起こります。

こういった事態を防ぐためにも入力内容を正確に入力させる必要があります。そのためには入力の段階で入力内容を制限させましょう。
メインのデータベースとサブのデータベースを作る
入力内容を制限する際などにはメインとなるデータベースのほかにサブとなるデータベースの作成が必要になります。
例えば、企業名を入力させる際にさまざまな表記を認めさせないようにするために入力内容を制限する必要がありましたが、この入力する企業というのは増えていくということが考えられます。その際にエクセルの機能で入力できる企業名を増やすことも可能ですがこれについてもデータベース化して可視化しておくことでメンテナンスなどが容易になります。
メインのデータベースにすべての機能を持たせようと考えるのではなく、サブのデータベースに明確な役割を与えて、そのサブのデータベースの内容を統合してメインのデータベースを作るという発想を持ちましょう。
ユニークな番号を振る
データベースをもとに加工した内容がおかしかった場合には、データベースの内容を修正しないといけないということも考えられます。
また、基本的にデータベースは集計をするためなどに使う素材ですが、一方でデータベースを加工しないといけないこともよくあります。
こういった時のためにデータが格納されている行にはIDのような固有の番号を振りましょう。
データベースには似たようなデータがたくさん入ってくることもありますが、このユニークな番号をあらかじめ振っておくことでそれぞれのデータに独立性が生まれ何かデータベースを加工する際にも追跡しやすくなります。
逆にIDのようなユニークな番号がないと似たようなデータを入力した場合にどっちが正しいデータなのかわからなくなるなどといった問題も発生しますから、データベースには極力ユニークな番号を振るようにしましょう。
データベースのためのおすすめ設定
というわけで、ここまで色々な考え方をみてきましたが、エクセルにはテーブル機能というものがあります。
テーブル機能とはエクセルに装備されている機能でデータベースを作るための機能が色々と備わっています。下記の記事でテーブル機能を確認できますのでエクセルでデータベースを作る方はご確認ください。
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